皆さん、こんにちは。MITBAC会員の齋藤秀明です。
デジタル化の進展や昨今のDXの動きを見ても、様々な調査やレポートにて、企業におけるIT投資は増加傾向にあるようですが、皆さんの会社では、IT投資を行う際、どのような検討を行い、投資判断を行っているでしょうか。
既存のシステムが老朽化したので業務継続のために必要なIT投資であるとか、あるいは、法律や制度改正に対応するために必要なIT投資であるとか、もしくは、策定したIT戦略を実現するために必須のIT投資とか、目的や理由は様々だと思います。
投資の目的や理由が明確であると、続いて、その投資金額は妥当なのか、過剰ではないかとか、投資効果は十分に出るのか、投資金額はちゃんと回収できるのか等も検討しなければなりません。
投資判断の際にその経済的計算に良く使われるのが、正味現在価値法です。
発生する投資金額に対し、将来得られる年度毎の経済的効果(正味キャッシュ・フロー)を計算するのですが、これは将来発生するキャッシュ・フローを現在の価値に割り引く等、計算式が非常に複雑です。
利用のしやすさを考えると、もっと簡単なもので、回収期間法があります。
回収期間法とは、投資した金額を何年間で回収できるかで投資判断を行うもので、例えば450万円を投資した結果、毎年度100万円ずつのキャッシュ・フローがある場合、4年半で投資回収ができるとし投資判断するものです。回収期間を何年に定めるか、その期間を妥当であると判断するかは、その会社の事情や投資の内容によっても異なりますが、計算方法や回収期間という概念が分かりやすいため、使いやすい手法です。
回収期間法のような定量効果のみで投資判断ができるものだけではないので、その場合は定性効果も加味し、複合的に検討することにはなりますが、定量効果・定性効果をしっかりと整理して検討することで、投資判断を明確にすることができます。
検討に検討を重ねて投資判断を行った後にお勧めなのは、投資したシステムの導入後、例えば、1年後、2年後などに、しっかりと効果検証を行うことです。回収期間法で見積もった経済的効果が十分に出ていればよいのですが、そうでない場合は、それを阻害する何か要因があったのか、あるいはもともと期待した経済的効果が高すぎたのではないか等を分析し、計画の見直しを行うとともに、反省点を次のIT投資判断へ活かすことができます。
もし、計画を見直しても投資金額の回収が難しい場合は、思い切ってシステムを廃止することでそれ以上の運用コストの削減やシステム機器の売却等も期待できるかもしれません。
IT投資の重要性は年々増しており、その判断が適切であるほど、それは会社の強みになります。今回の話が何か皆様のお役にたてばと思います。