皆さん、こんにちは。みちのくIT経営支援センター会員の高木順です。
さて、みなさんの会社では公式LINEをどのようにお使いでしょうか。「友だち」の数は順調に増えて、はじめは意気込んで様々な情報を発信していたものの、最近は「一体、何を配信したらいいんだろう…」と、スマートフォンの前で手が止まってしまうことはないでしょうか。
日々の業務に追われる中で、配信の優先順位は下がり、気づけばセール情報ばかりの一方的な「お知らせ」になってしまっている…。これは決して特別なことではなく、多くの真面目な経営者やスタッフさんが陥りやすい、共通のお悩みだと思います。
本日は、そんなLINE運用を、義務感に追われる「作業」から、お客様一人ひとりの顔を思い浮かべながら楽しむ「対話」へと変えていくための、考え方のヒントを3つほど、少し掘り下げてご紹介させてください。
ヒント①:「お知らせ」から「おしゃべり」へ。気持ちのチャンネルを切り替えてみる
ネタ切れが起きてしまう最大の原因、それは無意識のうちに、LINEを「広告チラシ」や「DM」と同じチャンネルで考えてしまうことにあります。それでは当然、何か特別なイベントがない限り、送るネタはあっという間に尽きてしまいますよね。
ここで一度、気持ちのチャンネルをカチッと切り替えてみませんか。LINEは、お店のカウンターや事務所の応接で、お客様と何気ないおしゃべりをするような、もっとパーソナルな「コミュニケーションの場」だと捉え直してみるのです。
例えば、長年の付き合いになるお客様とは、天気の話やご近所の話、業界のちょっとした裏話で盛り上がることがあると思います。その感覚に近い、「直接売り上げには繋がらないかもしれないけれど、人柄が伝わり、親近感が湧くおしゃべり」こそ、お客様との信頼関係という大切な土台を、ゆっくりと、しかし確実に育ててくれます。
「売り込むぞ!」と拳を握るのではなく、「〇〇さん、最近こんなことがありましてね」と、親しい人に語りかけるような温かい気持ちが、LINEでの対話を楽しむすべての基本になります。
ヒント②:あなたの「当たり前」は、お客様にとっては「特別なストーリー」
「うちみたいな小さな会社に、発信するような特別な情報なんてないよ」
日々のご相談の現場で、本当によくお聞きする言葉です。ですが、これは大きな誤解です。皆様が日々の業務の中で、ごく当たり前のように行っていること、考えていること、そのすべてが、お客様にとっては新鮮で価値のある「知りたい情報」であり「特別なストーリー」の宝庫なのです。
例えば、「お店の裏側」という舞台の幕を少しだけ開けてみる
お客様は、完成された商品やサービスだけでなく、その背景にある作り手の想いやプロセスを知ることで、より深く共感し、ファンになってくれます。
- 商品へのこだわり: 「このお菓子に使う卵、実は〇〇町の〇〇さんが育てた鶏の卵なんです。黄身の色が全然違って…」
- スタッフの素顔: 「ウチの若手、〇〇君です。口下手ですが、道具の手入れは社内一丁寧なんです」
- ちょっとした失敗談: 「新しい看板のデザイン、実はボツになった幻のデザイン案がありまして…(笑)」
例えば、「町の頼れる専門家」として知識をシェアしてみる
皆様はその道のプロフェッショナルです。お客様が暮らしや仕事の中で感じる「これ、どうしたらいいの?」という小さな困りごとに、専門家としてそっと寄り添い、答えてあげましょう。
- 飲食店なら: 「ご家庭でチャーハンがパラパラになる意外なコツ、それはお米の炊き方にありまして…」
- 小売店なら: 「このセーター、ご家庭でのお洗濯は『〇〇モード』がおすすめです。その理由は…」
- 士業の方なら: 「意外と知らない、〇〇費として計上できるもの、できないものの境界線」
ヒント③:100点満点を目指さず、まずは「60点」で続けてみる
ここまで読んで、「やっぱり、ちゃんと考え出すと大変そうだ…」と思われた方もご安心ください。最も大切なのは、一球入魂の100点満点の長文をたまに発信するよりも、少し肩の力を抜いた60点くらいの投稿でも、お客様との接点を持ち続けることです。
日々の業務の中でネタをストックしておくのもお勧めです。お客様からよく聞かれる質問、ふとした気づきなどを、レジ横のメモ帳や、スタッフ間のLINEグループに書き留めておくだけで、それは立派なコンテンツの素になります。
写真一枚と、一言二言のメッセージでも構いません。 「今日の仙台は気持ちのいい青空ですね!お店の前を散歩するワンコもご機嫌そうです♪皆様も良い一日をお過ごしください」 たったこれだけでも、お客様の日常の中に、あなたのお店を思い出してもらう立派なきっかけになります。
まずは週に一度、この「おしゃべり」のネタを一つだけ、お客様に語りかけるように発信してみる。そこから始めてみませんか。お客様からのスタンプ一つでも反応があれば、きっともっと楽しくなってくるはずです。
まとめ
LINE運用は、すぐに結果を求める短距離走ではなく、お客様との信頼関係をじっくり育むための、いわば「交換日記」のようなものかもしれません。
一方的な情報発信ではなく、お客様の反応に耳を傾け、時には問いかけ、対話を重ねていく。そうしてコツコツと続けたコミュニケーションの記録が、いつかお店にとって、他の何にも代えがたい大切な財産になります。
この記事が、明日からの皆様のLINE配信のヒントとなり、少しでもその楽しさを感じていただく一助となれば、これほど嬉しいことはありません。
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