新紙幣が発行されましたね(その2)

皆さん、こんにちは。MITBAC会員の齋藤秀明です。
さて、前回の本田代表理事のブログに続いて、私も新紙幣発行の話をしたいと思います。

新紙幣発行とキャッシュレスの関係

今回の改札は2004年以来20年ぶりとなり、一万円札は、日本近代社会の創造者と言われる「渋沢栄一」。五千円札は、女性の地位向上と女子教育に尽力した教育家の「津田梅子」。千円札は、近代日本医学の父と呼ばれている「北里柴三郎」になっています。

経済産業省では、クレジットカードや電子マネー等のキャッシュレス決済の比率を2025年までに4割程度、最終的にはフルデジタル化する目標を掲げていますが、現在のキャッシュレス決済の比率では、紙幣の活躍の場面はまだ多く、偽造防止等の観点から改札を行うものだそうです。

新紙幣対応の状況

新紙幣発行の経済効果は、ニュース等では約1兆6,000億円とも言われており、その内訳として、新紙幣に対応するための金融機関の窓口端末やATMの更改や改造、小売店等でのレジ端末や自動販売機の更改や改造等があげられています。

一方で、コスト負担を理由に更改や改造等を行わない企業も出ており、日本自動販売システム機械工業会によると自動販売機の対応については3割程度に留まっているそうです。これらの一部では新紙幣対応を見送り、一足飛びに完全キャッシュレス化を探る動きもあるようで、新紙幣発行が逆にキャッシュレス化を促進するという面白い構図になっています。

アナログを残したままデジタル化

私が勤める金融機関でも、新紙幣発行に伴い、窓口端末、ATMに加え、両替機や紙幣を扱う内部事務機器等の改造を行いました。その一方で、これとは別にキャッシュレス決済サービスやクレジットカードの推進にも力を入れ投資をしています。

似た様な例として、紙の手形・小切手の取り扱いを続けながら、その代替となるでんさい(電子債権記録)の推進を行っています。

これは業種問わずの例ですが、従来からの店舗や窓口を維持しつつ、新しいデジタルサービスや非対面チャネル等にも大きな投資を行っています。

いずれの企業も、全てに十分な投資を行い続けるのは難しいことから、事業への投資や撤退等の従来からの経営判断に加え、最近はデジタルサービスへの投資、アナログサービスからの撤退といったデジタル経営の判断が必要になってきています。

デジタル化の進展や昨今のDXの動きを見ても、我々、ITコーディネータの活躍の機会は格段に増えており、様々な場面で世の中のデジタル化の進展やこれに伴う企業の課題解決に貢献していければと思います。