生成AIとDX。そして企業経営への影響について

こんにちは。みちのくIT経営支援センター(MITBAC)代表理事の本田です。
ちょっとブログの更新が滞ってしまっていましたが、また定期的に記事の執筆を再開していく予定ですのでよろしくお願い致します。

さて、私たち、MITBACはITコーディネータを中心とした専門家の集まりであり、「東北にIT経営を根づかせる」というビジョンを掲げています。

IT経営は単なるデジタル化、IT化ではなく、コンピュータ等の情報機器をうまく活用し、経営戦略のレベルから経営を考え、必要に応じてビジネスモデルを再構築したり、組織改革を伴う概念です。
最近では、DX(デジタル・トランスフォーメーション)という言葉がよく聞かれるようになり、単なるIT導入、デジタル化にとどまらない概念は、まさにIT経営の中核となる部分と一致していると言えると思います。

さて、そのように単なる導入にとどまらず経営そのものの改善、改革に活用していくべきものであるITですが、実際に利用するユーザのリテラシーは様々であり、これまで全くIT化が進まずアナログな仕事の仕方をしていた人々、領域もあれば、どんどんデジタル化を進め、IT無しでは仕事が進まないような仕事もたくさんあります。

そういった流れの中、ITに対して過剰な期待を持つ人々や、苦手意識を持つ人々に向けた言葉であるのか、

「ITはツールに過ぎない」

というような言葉をよく聞くことがありました。
もちろん、それは間違いではありませんし、ITに振り回されるようなことがあってはいけません。
しかしその一方で、その可能性についてもしっかりと目を向けていくべきで、今後、何ができるかということについて考えてく必要もあります。

こちらのブログは10年以上前に書いたものなのですが、その中でも私の意見として、

今まで見えなかった可能性をどのように引き出していくかということが、我々(ITコーディネータ)の大切な仕事だ

ということを書いています。

ツールに過ぎないIT

先程、DXという言葉を出しましたが、私自身の考えとしては、

DXはBPR(事業プロセスの再構築)そのものであり、現在の環境(DXで言えば、特にIT環境といって良いと思います)を前提として、仕事や組織のあり方を再構築すること

だと思っています。

そう考えた時、現在、我々を取り巻いている大きな環境変化は何でしょうか?
インターネットの普及、携帯電話の普及に引き続き、やはり最大の変化は生成AIの登場と普及ではないでしょうか?

生成AIの登場は、今まで「ツールに過ぎない」と、半ば言い訳的に使われてきた言葉を大きく変える変化をもたらしていると言えると思います。

では、生成AIの登場と進化が企業の経営にどのように影響を及ぼし、経営者がどのように活用すべきかについて考察してみましょう

生成AIの進化状況

生成AIは、テキストや画像、音声などのコンテンツを生成することができます。
特に、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の登場は、AIの対話能力を飛躍的に向上させました。
この技術は、OpenAIによって開発され、GPT-3やGPT-4などのモデルが公開されることで、その性能と応用範囲は大きく拡大しており、今でも進化を続けています。

これらのモデルは、膨大な量のデータを基にトレーニングされており、文法や文脈を理解し、高度な文章生成が可能です。その結果、カスタマーサポート、マーケティング、コンテンツ作成など、さまざまな業務において有用なツールとなっています。

企業経営への影響

生成AIの導入は、企業の経営に多大な影響を与えています。主な影響として以下の点が挙げられます。

業務効率化:

生成AIは、定型業務やデータ入力、報告書作成などの反復作業を自動化することで、従業員の負担を軽減し、業務効率を向上させます。これにより、人手不足の解消やコスト削減が期待できます。

顧客対応の改善:

AIチャットボットを導入することで、24時間対応のカスタマーサポートが可能となり、顧客満足度の向上に寄与します。また、生成AIは顧客の質問に迅速かつ正確に応答することができるため、より良い顧客体験を提供できます。

意思決定の支援:

生成AIは、大量のデータを分析し、経営者が迅速かつ正確な意思決定を行うための洞察を提供します。市場動向の予測や競合分析などにおいても、その有用性が高まっています。

これらの活用が、ITに関する専門的知識を持たずとも、普通に人間とやり取りするような感覚で実施てきてしまうというのは、コンピュータの利用ということに対して大きなパラダイムシフトとなったと言えるのではないでしょうか

中小企業の経営者が生成AIを使いこなすために

中小企業の経営者が生成AIを効果的に活用するためには、以下のポイントに注目することが重要です。

教育とトレーニング:

まず、経営者自身が生成AIの基本的な原理や可能性を理解することが必要です。これにより、適切な導入戦略を立てることができます。社内でのAIトレーニングプログラムを導入し、従業員にもAIの使い方を学ばせることが推奨されます。

小規模な導入から始める:

いきなり大規模なAIプロジェクトを始めるのではなく、小規模なプロジェクトからスタートし、効果を検証しながら徐々に導入範囲を広げることが賢明です。例えば、カスタマーサポートの一部をAIチャットボットに任せることから始めると良いでしょう。

パートナーシップの活用:

AI技術に精通した企業やコンサルタントとパートナーシップを組むことで、自社に最適なAIソリューションを見つけることができます。専門家のサポートを受けることで、導入プロセスがスムーズに進み、効果的な運用が可能となります。

データの活用:

生成AIの性能は、トレーニングデータの質に依存します。自社の業務データを効果的に活用することで、より精度の高いAIモデルを構築することができます。データの収集・管理体制を整え、AIの導入に備えることが重要です。

 実は、これらのポイントはAIに特化したものではなく、今までのIT導入、活用でも同じようなことが言えました。
しかし、本質的なところは変わらずとも、世の中の変化のスピード、求められる対応スピードはこれまでと比較して大きく変化し、これまで以上のスピード感が必要になってくると思われます。

生成AIの進化は、企業経営において大きな可能性を秘めています。
中小企業の経営者がこれらの技術をうまく活用することで、業務効率化や顧客対応の改善、意思決定の支援など、多くのメリットを享受することができるでしょう。
特に、少子化が進み、人材不足が間違いなく起こるこれからの世の中では、単純に従業員の多寡ではなく、少数の優秀な人材とAIをはじめとしたITの適切な活王により、中小企業が真っ向から大企業と勝負し、社会に対してより高い価値を提供するような時代が来るかもしれません。

そのためにも、今からAIを活用するために、適切な教育とトレーニング、小規模な導入から始めること、専門家のサポートを活用すること、そしてデータを有効に活用することが重要ではないでしょうか。