経営数字を見る際の移動平均という考え方

経営数字を見る際の移動平均という考え方

こんにちは、MITBAC会員の高木です。

朝晩急に寒くなってきましたね。ついこの前までは暑くて暑くてたまらなかったのがウソのようです。
本日の仙台は雨模様。最高気温も15度と日中でもひんやりするようになってきました。
季節の変わり目、体調を崩さず過ごしたいですね。

 

さて今日は少し数字の話をしてみようかと思います。
経営をしていくときに数字が大切なのはみなさんもご認識のとおりだと思います。

しかし数字は、なかなか人が目で見ただけでは「印象」に左右され、正しい分析結果を捉えることができないことがあったりします。
気をつけてみていきたいということで、以下のような例を考えてみたいと思います。

 

こちらは毎月の売上の履歴を表にしたデータです。
この企業の売上はどのような推移を辿っているでしょうか?

やはり表を見ただけではわかりませんね。
こんな時はもちろんグラフが有効です。

グラフにしてみましょう。

するとどうでしょう、この企業さんの売上はだいぶばらつきがあり、売れるときとそうでないときの差が大きいということがわかりました。
トレンド(傾向)としてはどうでしょうか?

この企業の売上は増えていっているでしょうか?
減っていっているでしょうか?
皆さんはどう思われますか??

ばらつきがあるのではっきりしないところもありますが。売れている月の額が増えていっているように見えるので「売上好調」なのではないかと認識されたのではないでしょうか?

果たして本当でしょうか?
これが今日皆さんに伝えたかったところになります。

このようにばらつきが大きいデータの場合は『見かけの印象』に左右されて、グラフそのものも傾向を捉えるツールとして機能不全を起こすことがあるということです。
そんなときは以下のようにデータを再編集してみましょう。

売上のデータはばらつきがあるので均して(ならして)見る必要があります。
データを均すときに有効な手法は、皆さんご存知の「平均」という方法です。

このときに利用されるのはみなさんがご存知の、一般的な「平均」ではなく、「移動平均」と呼ばれる手法です。
単純な「平均」では総データを合算して、データ数で割り、データ全体の「平均」を割り出します。

しかし今知りたいのは【傾向(トレンド)】であり、全てのデータの特徴を掴みたいわけではないので、季節変動を均し、月商と比較することができる「月移動平均」とすると最近の売上高が前月と比べて増えているのか減っているのかを捉えることができるようになります。

ですので、ここでは直近12ヶ月の売上高を合算しそれを12で割るということを毎月実施していきます。
計算結果は以下のようになります。

こうなると、数字だけを見てもなんとなく傾向が捉えられそうです。
決して売上好調とはいえなさそうです。

グラフにしてみます。
先程の売上高のグラフに移動平均の列を加え、右軸に移動平均の推移を表示してみました。

グラフで見ると確実に売上は減少傾向にあることがわかりました。
こうなるとすぐにでも何かしらの対策を打たないといけないと判断できます。

しかし先程のように表データだけや通常のグラフだけで判断していると全く対策を打たなければいけない状況だとは思えなかったですよね。。。

きちんとデータを分析していくことがいかに大切かということを認識できる事例だと思いますし、『移動平均』というツールが結構有用な分析手法だということが把握できたかもしれません。

ぜひ皆さんも『移動平均』を使って、売上に限らず、色々なデータを分析してみて下さい。