こんにちは。会員の高木です。
唐突ですが皆さんは経営の指標に「売上高」を用いていますよね?以下の会社はどの会社が優れていそうでしょうか?
- A社 売上高3000万円
- B社 売上高1億円
- C社 売上高1500万円
おそらく、多くの方がB社が優れているというのではないかと思います。
しかし経営というのは売上高を競うものではなく、利益が出ているかどうかが大切だということが実は皆さんわかっているはずです。それなのに、利益の額ではなく、売上高の多い少ないで考えてしまうのは短絡的ですよね。
よくテレビなどでは「年商◯◯億円!」なんていう謳い文句でそのスゴさ(?)を表現していたりしますが、利益が出ているかどうかには触れていないことが多いものです。つまるところ、上記3社ではどの企業が優れているかなんてわからないということですね。(もちろん優れた企業かどうかと言う尺度そのものも『利益が出ていれば良い企業』といい切れるものでもありませんが)
先程の企業ですが、少し条件を足してみましょう。
- A社 原価率50%、固定費1300万円
- B社 原価率70%、固定費3000万円
- C社 原価率30%、固定費800万円
このような状態だとどうでしょうか?
A社の場合は、
売上高が3000万円で原価率50%ということは粗利益が1500万円になります。
そうすると、固定費が1300万円なので200万円の利益が残る(創出できる)ということになりますね。
同様に、B社の場合は、
売上高が1億円で原価率70%ということは粗利益が3000万円になり、固定費が3000万円ということでしたので
なんと利益は残らないということになってしまいました。
最後にC社の場合は、
売上高が1500万円ということですから、原価率30%ということならば、粗利益は1050万円ということになります。
すると、固定費800万円ならば250万円の利益を創り出すことができたということになります。
つまり『以下の会社はどの会社が優れていそうでしょうか?』という問いは、
- A社 売上高3000万円、利益200万円
- B社 売上高1億円、利益なし
- C社 売上高1500万円、利益250万円
という問いだったという訳です。
さて皆さん、冒頭の印象ときちんと考えてみた場合の印象は同じものだったでしょうか??いま改めて見てみれば、一番すごいのはC社だという方が多いのではないでしょうか?
経営を見ていくということは、単に一つの指標だけ見ればいいということではないということがお分かりいただけたのではないかと思います。特に【原価】という考え方もどのような費用を計算根拠に含むのかという点で多くの論説があり、厳密には導かれる利益の額もその方式ごとに違ってきたりするのです。
そうするともう、何をどう見ていけばいいのかわからなくなってしまいますよね。
そう。だからこそ、経営するにおいては「どの数値をどう見ていくべきなのか」自身の中にきちんとした指針が必要なのです。皆さんはきちんと自社の数値を見ることができる状態でしょうか?今一度振り返る機会としてみていただくと幸いです。